扁桃腺とは
扁桃腺とは、口蓋垂(のどちんこ)の両横にあるリンパのこぶのことで、口蓋扁桃とも呼ばれます。
口蓋扁桃以外にも、鼻の奥に咽頭扁桃(以下アデノイドと呼びます)と耳管扁桃、舌の付け根の舌根扁桃という扁桃腺があります。アデノイドと舌根扁桃は、口や鼻をのぞいても直接見えない位置にあるため、検査の際には、鼻からファイバースコープを通します。
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扁桃腺には、健康なときでもブドウ球菌や溶血性連鎖球菌などの細菌がいるのですが、普段はそれらの細菌が悪さしないように免疫力が抑えています。ところが、風邪ウィルスに感染したり、過労などで免疫力が落ちると、そこにいた細菌が増殖し、扁桃腺に炎症を起こすのです。
※以前は扁桃腺と言っていましたが、今は「腺」を取って「扁桃」と呼ばれています。ただ、今のところはまだ「扁桃腺」の方が馴染み深いので、当サイトでは、「扁桃腺」という記載をしています。ご了承下さい。
扁桃腺の機能
扁桃腺には、免疫機能の未発達な乳幼児期に病原菌の侵入を防ぐ機能があります。のどの中にはたくさんのリンパ組織があり、体の外から入った病原菌と戦ってくれるのです。扁桃腺もリンパ組織として病原菌の侵入を防ぐ働きをしています。
扁桃腺の大きさ
扁桃腺には、免疫機能の未発達な乳幼児期に病原菌の侵入を防ぐという目的がありますので、体の成長と共に免疫機能が発達すると、次第に退縮していきます。アデノイドは3〜6才、口蓋扁桃は5〜7歳で最も大きくなり、小学校高学年頃になると次第に小さくなっていきますが、成人しても扁桃腺が肥大したままのこともあり、個人差があります。
「アデノイド増殖症」「口蓋扁桃肥大」は、3〜6歳頃にみられる病気で、遺伝的体質、炎症の繰り返しなどが原因でおこります。10歳くらいになる頃には、自然に小さくなるため、軽度の場合は様子を見ますが、手術が必要なケースもあります。
※扁桃腺が大きいだけでは手術適応になりません。
扁桃腺肥大とは
■生理的肥大
口蓋扁桃は5〜7歳で最大になり、12〜13歳で縮小し、思春期を過ぎる頃には萎縮します。よって、幼児、学童期の扁桃腺肥大は、基本的には生理的肥大ということになります。
■病的肥大
急性扁桃炎や慢性扁桃炎時などの扁桃腺肥大です。
扁桃炎とは
扁桃腺の炎症のことです。風邪の延長で起こることも多くあります。空気中には、目には見えない最近やウィルスが常に浮遊していて、扁桃腺がそれと戦っています。ところが、強い細菌やウィルスが侵入したり、過労などで免疫力が低下すると、戦いに負けてしまい炎症を起こすのです。
また、扁桃腺にはもともと健康なときでもブドウ球菌や溶血性連鎖球菌などの細菌がいるのですが、普段は悪さをしないように免疫力が抑えています。ところが、やはり、風邪ウィルスなどに感染したり、免疫力が低下していると、そこにいた細菌が増殖し、扁桃腺に炎症を起こしてしまいます。
扁桃炎の症状
扁桃腺が腫れてのどに痛みを感じます。また高熱を発し、高熱のために、全身の筋肉や関節にも痛みを訴えます。熱は数日で下がることもありますが、1週間くらい続くこともあります。また、耳への放散痛などの症状が現れたり、のどの痛みが激しくなると、飲むことも食べることもできなくなり、食欲不振になる場合もあります。
扁桃腺の炎症が進むと、扁桃腺の周辺の粘膜まで赤く腫れ、表面に白いブツブツや白いこけのようなものがついてきます。扁桃腺内部の炎症だけでなく、周囲の結合組織に炎症や細菌が広がり、扁桃腺の外側に膿が溜まる扁桃周囲膿瘍になると、貯まった膿を切って膿を出す必要があります。抗生剤を点滴することで症状は軽快しますが、ぶり返しやすいです。頸部に感染が及ぶと頸部膿瘍となり、致命になることがあります。
溶血性連鎖球菌による扁桃炎の場合、合併症として腎炎、リウマチ熱を起こすことがあります。扁桃炎が治ってから10日から2週間後に、まぶたのむくみなどがあるようなら注意が必要です。とくに炎症が1週間以上も続く場合は要注意です。
■扁桃周囲炎
扁桃腺の炎症が長引いたり、治療が不完全なときに炎症が扁桃腺の周囲にまで及んだものです。
■扁桃周囲膿瘍
扁桃腺内部の炎症だけでなく、周囲の結合組織に炎症や細菌が広がり、扁桃腺の外側に膿が溜まる状態。口が開けられない(開口障害)、ものが食べられないくらい痛く、白血球増加、高熱などがあります。さらに重篤な場合には、気道閉塞を起こして呼吸困難となることがあります。
扁桃周囲膿瘍の検査は、膿瘍部を針で刺して膿汁が吸引されれば診断できます。膿瘍部が穿刺できない場合は、CTや超音波検査で膿瘍の場所を診断することもあります。扁桃周囲膿瘍の治療は、入院治療が必要となり、十分量の抗生剤を点滴投与して、局所切開と排膿します。一般的に切開と排膿により開口障害は急速に治っていきます。
■急性扁桃炎
扁桃腺の急性炎症のことで、細菌やウィルス感染によるものです。扁桃腺が赤くなって腫れたり、白色の膿で覆われることがあります。急性扁桃炎の原因菌としては、化膿性連鎖球菌、インフルエンザ菌、黄色ブドウ球菌、肺炎球菌などがあります。急性扁桃炎の治療は、抗生剤・鎮痛剤の内服をします。炎症がひどい場合は、抗生剤の点滴を行います。痛みや発熱に対して座薬を使用することもあります。扁桃炎を繰り返す場合は、扁桃腺を摘出することもあります。
※扁桃腺以外の咽頭の炎症が主な場合を急性咽頭炎と呼びます。急性咽頭炎の症状は、口を開けたときに見えるのどの突き当たり(咽頭後壁)が炎症により赤くなります。症状が悪化すると、炎症を起こした部分に、顆粒状の発疹ができ、さらには、口蓋扁桃のすぐ内側にある咽頭側索という部分が腫れたり、白い膿がついたりします。この状態になると、のどに強い痛みを感じ、物を飲み込むときに痛みをともないます。
■慢性扁桃炎
扁桃炎の検査
扁桃炎の検査は、症状と扁桃腺の状態(扁桃腺の発赤、腫れ、膿栓付着(白い斑点が付いている)、頚部リンパ節腫脹)を観察します。血液検査では、白血球の増加、炎症の程度を診るCRP陽性などをチェックし、脱水の状態を診る尿検査を行います。また、扁桃腺の細菌培養検査を行うこともあります。
扁桃炎の治療
扁桃炎の治療には、解熱剤、鎮痛剤、抗生物質が処方されます。ウィルス性の扁桃炎の場合は、症状を抑える薬を使い治癒するのを待ちます。また、細菌性の扁桃炎の場合は、抗生物質を服用すると熱は数日で下がります。ただし、熱が下がったからといって服用をやめると再び炎症を起こすこともあります。
扁桃炎を繰り返す場合は手術を行うこともあります。
■口蓋扁桃摘出手術対応
扁桃腺摘出手術適応
■扁桃炎を繰り返す
扁桃炎が慢性化し、年に4〜5回以上、38〜40℃の発熱を繰り返す場合、全身に大きな影響を及ぼすことがあります。※回数については、年に3回以上という医師もいます。
■病巣感染扁桃 ■扁桃病巣感染症
扁桃腺が病巣となり、腎炎、リウマチ様関節炎などの重大な病気を引き起こすことがあります。病巣感染を起こしやすいのは溶連菌という菌です。
■溶連菌感染症
■高度の扁桃腺肥大
- 睡眠時無呼吸
- 高度の扁桃腺肥大により、睡眠時に上気道が閉鎖することによって、いびきまたは無呼吸発作が起こることがあります。睡眠が浅くなるため、疲れやすくなったり、昼間ウトウトしている場合もあります。長期にわたる場合は、肺や心臓へ影響が及ぶ危険があります。大きないびきは、呼吸障害があるということです。
- 摂食成長障害
- 高度の扁桃腺肥大により、食が細くなったり、飲み込みがうまくいかなかったりして体の発育に影響がでることがあります。幼児では、食べ物がうまく飲み込めず口の中でいつまでもモグモグしていたり、つまって吐き出してしまうことがあります。
乳幼児と扁桃腺肥大
扁桃腺には、免疫機能の未発達な乳幼児期に病原菌の侵入を防ぐという目的があります。ですから、体の成長と共に免疫機能が発達すると、扁桃腺は次第に退縮していきます。アデノイド、口蓋扁桃は幼少期から少年期にかけて大きくなります。アデノイドは3〜6才、口蓋扁桃は5〜7歳で最も大きくなり、小学校高学年頃になると次第に小さくなっていきますが、成人しても扁桃腺が肥大したままのこともあり、個人差があります。
扁桃腺は重大な免疫の仕事をしている必要な器官です。扁桃腺が大きいから病気ということはありません。つまり、扁桃腺が大きいだけで、本人に何の苦痛もないなら手術をする必要はないということです。日常生活に支障がないなら、その扁桃腺は正常に機能しています。「扁桃腺肥大」と診断されたからと言って、扁桃腺をとらなければいけない・・・と思わないでくださいね。
扁桃腺を摘出しなければならないのは次の場合です。
■扁桃腺摘出手術適応














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