扁桃腺肥大は遺伝することがある
アキが1~2歳になる頃、「この子の顔は私によく似ているなぁ」と思い始めてから、
嬉しい反面、「もしかしたら・・・、この子もいずれ扁桃腺の手術を受けることになるかもしれない」と、
思うようになりました。扁桃腺肥大は遺伝すると聞いたことがあったからです。
案の定、その頃、受診した耳鼻科で、アキは、「扁桃腺が大きいですね」と言われてしまい、
「やっぱりか・・・」と思ったことを記憶しています。
扁桃腺肥大のせい?一年中イビキ
アキは、鼻が弱いのか、一年中、鼻声で、
睡眠中は、イビキをかいていて、いつも口を開けて寝ていました。
イビキの音は、「ガー、ゴー、ガー、ゴー」というよりは、「カー(息を吸う)、コー(息を吐く)、カー、コー」という感じでした。
ほぼ毎日、そんな感じでしたが、鼻の調子がとても良いと「スー、スー」とわりと小さい音になりました。
年中、鼻水の量が増えたり、減ったりの繰り返しだったので、常に、耳鼻科にはお世話になっていて、
鼻水対策にアレルギー症状を抑えるためのお薬を継続して飲んでいました。
鼻の症状が比較的落ち着いているときは、「カー、コー、カー、コー」というイビキの音も比較的静かで、
風邪を引いたりして、鼻水が増えると、その音はうるさくなりました。
それでも、呼吸のリズムは一定で、止まったりすることはありませんでしたし、
扁桃腺炎を繰り返しているということもなかったようで、特に、手術の話は出ていなかったのです。
扁桃腺肥大で睡眠時無呼吸?呼吸が浅い
ところが、5歳を過ぎたあたりで風邪をひいた時から、様子が変わってしまいました。
鼻水がいつものように増えたので、耳鼻科で抗生物質をもらい、アレルギー症状を抑えるお薬と合わせて飲んでいたのですが、
今までのように、薬の効果が感じられなかったのです。
それ以前でしたら、大抵は、この抗生物質を飲むことで、鼻水の量は、
2週間ぐらいかけて、ジワジワと減っていき、
イビキの音も、気にならないくらい小さくなっていました。
ところが、今回は、2週間経っても、睡眠中のいびきの音が小さくなりません。
それに、なんだか、いつもより、とても苦しそうなのです。
呼吸のリズムは、「カー、コー、カー、コー」と変わらないのですが、一回一回の呼吸が浅いように感じました。
時々、「ガーッ」というイビキが間に入り、呼吸が浅くて吸えていなかった分を一気にすっているように見えました。
そこで、薬を飲み終える頃、また耳鼻科を受診し、
「鼻の調子があまり良くならず、睡眠中、苦しそうです」と伝えました。
前回と同じ抗生物質とアレルギー症状を抑えるお薬を追加でもらいました。
その頃からだったと思います。睡眠中、今まで、聞いたこともないようなイビキの音が、
時々、聞こえるようになってきました。
鼻の症状が比較的落ち着いている時のイビキを、
「カー、コー、カー、コー」とすると、
今回、最初に苦しそうだなと思った時が、
「カー、コー、カー、コー、カー、コー」「ガーッ(息をいっぺんに吸う)」で、
今度は、それの間に
「カッ(息を吸おうとしているのに吸えない)」「カッ」「カッ」「ガーッ(息をいっぺんに吸う)」
というイビキをかくようになったのです。
「カッ」の時は、ちょっとも息が吸えていないように見えました。
「睡眠時無呼吸症候群かもしれない・・・」そう思いました。
扁桃腺の大きさがピークを迎えた?
アデノイド肥大は3~6歳、口蓋扁桃肥大は5~7歳で最大となり、学童期の後半に次第に小さくなっていきます。
アキの扁桃腺も、その大きさがピークを迎える時期に入り、呼吸がしづらくなってしまったのかもしれない、
そう思うと、とても不安な気持ちになりました。
アキは、息が十分に吸えない時に、苦しさのあまり、
何度も、眠りながら体を起こし、呼吸のしやすい体勢を無意識に探していました。
その時、いつも泣いました。見ている私も、とても辛かったです。
それでも、私は、鼻水の量さえ減れば、きっと元に戻るはず・・・と祈るような気持ちで、
いただいたお薬を飲ませ続け、毎晩、睡眠中の苦しそうなアキに、自分ができる限りのことをやってみました。
枕の高さや、固さ、置く位置を変えてみたり、
横向きに寝かせたり、首回りを温めてみたり、ヴィックスヴェポラッブを塗ってみたり・・・。
中でも、枕の置く位置を変えるのが一番効果があり、ベストポジションにはまると、無呼吸は収まり、
イビキも小さく、「スー、スー」という音になりました。その時は、本当にガッツポーズをしたくなるほど「やった!」と思いました。
でも、そう思ったのも束の間、寝相が悪いので、しばらくすると動いてしまい、その度に、
枕の位置を変えることになりました。
私は、一晩中、アキのことが心配で、アキが動く度に、枕の位置を変えたり、横向きにしてみたりと、
試行錯誤していましたから、あまり眠れない日々が続きました。
扁桃腺の手術を受けるべきなのか・・・
頭の中には、「扁桃腺をとる」という選択肢が浮かんでいましたが、
手術後の辛さを知っている私は、「できることなら手術は避けたい」「やらないですむなら、手術をせずに乗り切りたい」
と思っていました。
「もう少し・・・、もう少しだけ様子を見よう」と思いながら、
毎日、毎日、手術のことも頭から離れず、心のどこかで小さな覚悟も生まれ始めていました。
前回の耳鼻科の受診から1週間後、少し強めの薬を出してもらえるようにお願いしてみました。
これまでも、少し、鼻水が長引く場合に、3日間だけ、
強めの抗生物質を処方されるということがあったからです。
そして、この抗生物質を3日間飲みきる頃には、鼻水の量は劇的に減り、イビキもかなり小さくなる、
その後の1~2週間ぐらいで、さらに、徐々に良くなっていくというのが、それまでのパターンでした。
睡眠時無呼吸、扁桃腺の手術を勧められる
ところが、2週間経っても、状態は変わりません。
再度、耳鼻科を受診し、「睡眠中、呼吸が苦しそうで、息が吸えていないときがあります」と伝えると、
「無呼吸ですね・・・。無呼吸は、扁桃腺をとると治ることがあります。
今、5歳でしたね。手術するには、調度いい時期かもしれないですね・・・。
どうしましょう。紹介状を書きましょうか。」と言われました。
「呼吸ができていないことがある」と伝えれば、手術を勧められることはわかっていました。
でも、私は、まだ、手術を受けることを決断できず、
「あともう少しだけ様子を見たいです」と答えていました。
医師は、今までとは違う抗生物質を、3日間分、処方してくれました。
動揺していて、聞くのを忘れてしまったのでわからないのですが、
たぶん、強めの抗生物質を出してくれたのだと思います。
私が無呼吸の症状を気にするようになって、頭の中に、
「扁桃腺手術」の文字が浮かぶようになってから、3週間が経っていました。
その間、毎晩、苦しそうなアキの姿を見ながら、
枕の位置を変えたり、試行錯誤しながら、ほとんど眠らずに、
一方で、手術のことを考えていました。
医師から、「手術」の言葉を聞き、さらに3日間、悩み抜いたところで、
「扁桃腺をとろう、手術を受けよう」と決心し、再度、耳鼻科を受診し、
大きな病院への紹介状を書いてもらい、そして、4日後の予約をとりました。
手術を受けるかどうか迷う日々
さて、なんと言うことでしょう・・・。大きな病院を受診するまでのこの4日間の間に、
無呼吸の回数がかなり減っていくのです・・・。
「どうしよう。もしかしたら、もう少しで治るのかもしれない。
手術なんてしなくていいのでは・・・?」
受診当日には、心が揺らいでいます。
でも、結局、大きな病院を受診することにしました。
無呼吸に気づく前から、アキのイビキのことは、ずっと気になっていたからです。
アキは一年中イビキをかいていました。それが、どれぐらい苦しいものなのか、
はたまた、大して苦しくないのか私にはわかりませんでしたが、
毎日、少しでも気持ちよく眠って欲しいと心から思っていました。